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矢澤(司会) 矢澤です。平成15年度はユーザー研究会の論文委員長という大役を務めていますが、実は39回の金沢でのシンポジウムで、私自身が論文に応募した立場なのです。
書くこともそうですが、論文を審査する難しさも味わい、論文を読む、他の人に向けて論文を書くということが、企業の中でノウハウを共有するのに非常に有効な手段だということ大きく感じました。
今年度平成15年度は論文委員長になり、もっと論文の有用性を認識していただいたうえで、できるだけ多くの人に論文を応募していただきたい。そしていい論文を皆さんで共有していただき、ユーザー企業の役に立っていただければという思いで、活動しています。
今回、前回のユーザー論文に入賞した皆さんに集まっていただきましたが、ぜひ皆さんの経験と生の声を他の方々に伝えていただきと思っています。よろしくお願いします。 |
矢澤 まずは、論文を書かれたきっかけからを教えてください。
高橋 2年前からユーザー研究会のIT研究会に参加していまして、そのテーマがe-ラーニングだったんです。2年続けて研究したので、その集大成として論文を書き始めました。
佐々木 新しい技術を使ったプロジェクトが立ち上がるとことになり、どうせなら論文も書いて評価いただけるものを作ろうということになって応募しました。いいものを作って、自分の会社だけでなく、外の方にも評価していただきたいという気持ちがありましたね。
中村 私は地元(新潟)で開催ということもあって、張り切って応募しました。 |
矢澤 論文を書かれたのは初めてですか?
高橋 大学の卒論以来(笑)。
中村 私もそうです。思わず昔書いた論文をひっくり返して読みました。
高橋 出だしからどうやって書いたらいかが分からなくて…。普通の論文と企業論文とは違うじゃないですか。すごくとまどいましたね。
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矢澤 本を読んだり、セミナーを受けたりして勉強したことは?
高橋 日本IBMのSE論文に10年間連続で入選された方の本(永田恒一『図解「企業論文の書き方」』工業調査会刊)を読みました。ああ、こうやったら書けるんだというのが分かって、まず部品集めから始めました。
中村 ユーザー研究会のホームページに載っていた前回の論文にざっと眼を通して、書き方のポイントをつかむところから始めました。
佐々木 私も過去の入賞者の論文を読ませていただきましたが、読んでいくうちに書き方があるなと感じました。 |
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矢澤 書き方が分かってしまうと、後は自分の経験をうまくその形に合わせて整理していけばできあがっていきますよね。
高橋 最初は論文なので、ちゃんと正しいことを論じないといけないと思い、なかなか書き出せなかったんですよ。ところがある本を読むと、ウソでもいいから書き通せと書いてあったので、あ、自分の思っていることを書けばいいんだと思ったときから、だんだん筆が進むようになりましたね。
佐々木 よく「起承転結」といいますが、論文の場合は「起結転承」で、結論を先に持ってきて後でその理由を論じればいいと思います。
中村 書き始めが難しいですね。私の場合は、とにかく書くだけ書いて、それから共同執筆者に見てもらいました。 |
矢澤 共同執筆というのは難しくなかったですか。
中村 私の場合は、私が元になる原稿を書き、共同執筆者に足りないところを補足してもらいました。
佐々木 図や表を作るのにかなり時間がかかりますので、そちらを共同執筆者にお願いしました。2人だと、スケジュールをたててチェックしあえるというメリットもありますね。
高橋 ひとりだったので、ギリギリの提出でした。 |
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矢澤 皆さん、いつごろから書き始めましたか?
高橋 ちょうどプロジェクトが立ち上がったのと同期していたので、仕事の方が忙しくて、結局、部品集めを開始したのが年末でした。部品はたくさん集まったのですが、それをまとめて書くのが1月に入ってから。ばたばたしていました。その反面、集中して勢いに乗って書けたので、流れが作りやすかったと思います。
佐々木 12月初めから書き始めたのですが、他の方に読んでもらうため、年末に半完成品でもいいから完成させようという意識がありました。それで年末年始はゆっくり休んで(笑)、また1月から新たな気持ちで始めようと。
中村 ちょうどプロジェクトが終わったときだったので、時間がありましたね。ただ、今回のテーマにからんで実証しないといけないこともあり、その環境作りに時間がかかりましたね。書き始めたのが11月の後半です。
矢澤 じゃ、皆さん早くから取りかかっているんですね。私の場合、正月から始めましたよ。
高橋 それは遅いですね(笑)。 |
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矢澤 いったん書き始めると、ある程度のところまで一気に書けてしまいますからね。
高橋 でも、思うままに書いていったら、字数制限をずいぶんと超えたんですよ。どこを削るか困りましたね。どこも大事なような気がして(笑)。
佐々木 私も提出の前日に、字数や図表の数を確認したところ、図表の数がオーバーしていたのに気づき、前の日に結構ばたばたしました。書き始めたときは、ほんとにこれだけ書けるのかなという不安がありましたが、書き始めると多くなってしまい、高橋さんと同じようにどうやって削ろうかと悩みました。
高橋 切るならバッサリ切らないといけない。中途半端に削ると、話が続かなくなっちゃう。 |
矢澤 書いている途中で、また書き上げた後で、誰かに見てもらいましたか。
高橋 最初に骨子(目次)を考えるときに、上司に見てもらいました。骨子だけ見て、流れが分からないところを指摘してもらえたんですよ。それが後からみるとすごくよかったですね。
矢澤 最初の構成が非常に重要ですね。審査する立場からしても、要約を読めば、それがいい論文かどうか分かるんですよ。そこに集約されていますから。
佐々木 章立てを分かりやすくするというのも、論文を書く技術でしょうね。あと、書いていくうちに、自分が何を訴えたいのか分からなくなってしまうことがありました。最初はすごいと思って書いていたのに、書いているとあんまりすごくないような気がしてくる。そのたびに原点に立ち戻って、自信を回復しながら書いていましたが(笑)。 |
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矢澤 分かりやすく、という観点からは、どんなところに気を遣いましたか?
佐々木 読み手をどこに置くかということが難しいと思うんですよ。私の場合、「Javaは知っています。しかしフレームワークまでは使いこなすところまでいっていない」という人たちに対して参考になればというレベルで書きました。難しく書こうと思えば難しく書けるんですが。
矢澤 今、佐々木さんが言われたのは非常に重要なポイントですね。技術的なテーマについて、目線を自分より一段落として、広く理解してもらう形で書けると評価が高くなると思います。
中村 私は、分かりやすい図表を入れることに力を注いだつもりです。 |
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矢澤 今回、論文を書いてよかったと思うことは?
高橋 新潟に行けたこと(笑)。やっぱり人脈が広がったことですね。たくさんの方と知り合うことができました。その後もメールをいただくことがあり、感激しています。
佐々木 ふだんは金融分野以外の方となかなかお話しする機会がないのですが、今回、シンポジウムでいろいろな業種の方とお話しする機会ができました。
中村 ものを書くということに対して、表現の仕方がいろいろあるということが分かりました。これからのプロジェクトの中でも生かして行けたらと思います。
矢澤 自分のやってきたことを表に出すわけですから、それがきっかけでいろいろな企業の方々とコミュニケーションできる。それによって、皆さん自身の世界が広がっていくんでしょうね。これは、なかなか他では得られない経験になったことでしょう。今年、皆さんと同じように初めて論文を書かれる方も多いと思います。
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矢澤 最後にぜひアドバイスをお願いします。
高橋 一番大事だと思うのは、骨子に時間をかけることですね。肉付けは後でいくらでもできます。
佐々木 思い切って「井の中の蛙」から飛び出して、まず、やるぞと宣言してしまうこと。そして、やるからには自分自身を奮い、周りからも奮い立たせていただいてキチッとしたものをやる意気込みが大切だと思います。
中村 論文というと堅苦しくなってしまうので、難しく考えないで、とにかく文章を書いてみることです。肩に力を入れずに文章を書いて、最終的に論文の規定に合わせてみればいいのです。書かないことには、何も始まりませんから。
矢澤 ありがとうございました。 |